『華國ノ史』
 フォロフォロの口から抜いたよだれでベトベトの剣には文字が刻まれているようだった。

クラッシュ
「古代文字?それにこの柄の宝玉」

フォロフォロ
「「キボウノツルギ」ダ。

 ワタシノ、クチニ、カクシテイタ」

クラッシュ
「希望の剣、神話に出てくるあの?」

フォロフォロ
「シンワデハナイ。

 ソトガ、サワガシクナッテキタ。

 ハナシハ、オワリダ」


クラッシュ
「長く続いた城もこれで終わりか、よりによって私の代で」

フォロフォロ
「ジュウブン、ミハナッタ。

 マタキヅケバヨイ。

 オオクノモノガソダッタ。

 ソレデヨイ。

 ワタシノモトニカクレヨ、ユクゾ」


 フォロフォロがむくりと立ち上がると背中が天井に当たり部屋が揺れた。


 セブン達は急ぎ龍の腹の下に身を隠すと、龍は頭と羽を持ち上げ天井を破った。


フォロフォロ
「マホウデ、ミヲマモッテイロ」

セコンド「任せろ」
 
 そう言うとセコンドは四人を覆う氷のドームを張った。

 
 龍はそれを感じたのか前足を跳ね上げ翼を広げ羽ばたき初めた。

 
 辺りは騒音と共に崩れ落ち、上に建っていた無知なる者の止まり木は瓦礫と化し、

 城は歪み、龍は城壁の外からでも見える程高く空へ舞い上がった。


 誰もが音と振動に目をやり、巻き上げられた煙と共に天高く飛翔する龍を目にした。


 辺りに城の瓦礫が飛び落ち、眠りドラゴン城は遂に崩れ去った。


 その轟音は城壁の外にいた煌皇兵達にも動揺が走らせる。

煌皇兵
「どッドラゴンです!

 将軍!

 巨大なドラゴンが現れました」

ボーワイルド
「あれは精霊ではないな?

 眠りドラゴン城の名の主か…全く驚かされる。

 だが恐れるな!

 ドラゴンが怖くて魔法都市なんぞ落とせるか!

 死神のランタンを持ってこい!」
 
 ボーワイルドの目には挑戦的な火が宿っていた。
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