転換しましょ
カタンという音がしたのは階段上からで、俺達がいるのは階段の踊り場。


つまり誰か…ああ、懐かしい顔。



「あ、新垣…さん」


「助けて!」



柊くんが新垣さんに気を取られている内に死に物狂いで階段をあがり、助けを呼ぶと他の教室から生徒や先生が顔を出す。



「どうしたの!?」


「先生、柊くんにっ森宮くんがっ」


「大丈夫?!森宮くん!」



新垣さんに抱きついている俺に心配そうな顔で隣の教室にいた女の先生が声を掛ける。


その後を追うように柊くんも階段をあがってきて必死に自分の無実を弁明している。



目撃者である新垣さんはそれを否定して――…のエンドレス。




とりあえず事情を説明させてください。




****



「まあ今回は柊くんに比があったってことね」


「誤解だと」


「森宮くんは今日転校してきたばかりなの、急に壁に追いやられたら誰だってびっくりするわ」


「森宮、ごめん」


「い、いいよ。かなりびっくりしちゃっただけだし…。新垣さんもごめんね」


「いいよ」



袖で隠れた手を中でぎゅっと握る。


まだ緊張が取れていないのか手が冷たい。




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