年の差とか。
第一章 初めてのスキ

初めての災難


桜ヶ丘高校、一年三組十二番。
学校にもそろそろ慣れてきて、楽しみにしていた夏休みを目前に控えている。

「ま、真姫さん。俺と付き合ってください。」

え。
どうするの?

「えっ!本当に?」
「信じて、ください。」

なに。このやり取り。

「はい!よろしくお願いします。」

…。
って言うのが昨日の出来事。
モテる友人、葛城真姫。
高校に入ってからまだ夏休みも来ていないというのに、何人目だろうか。
男も男だなと感心してしまう。

私は
「ねぇ!美桜!彼氏できると、周りが華やかになるよ!!」

影島美桜。これが私の名前。
美しい桜?こんな名前好きじゃない。

そんな悪い言葉しか言わないような私。

女の子同士なら、こんな私でいられるのに。
男の子の前だと素の自分を出せない。

彼氏というものに、高校生になっても興味のない私はおかしいのかもしれない。
私から見たら、男の子なんか不思議でしかない。
話したくなんかない。
結局何か言ってるんでしょ、そればかりで。

運命の出会いなんて信じない。
あるわけ無い。

「そうなんだー、よかったね。」
ほとんど棒読みで真姫に返事を返す。

真姫は中学からの親友だったわけではない。
ただ同じ高校に行くことになったので一緒に投稿するようになった。
それからこんな状態。
クラスに他の友達はいないかと言えばいる。
ただ、女子というものはグループを作りたがる。
私は真姫と二人グループということなのだろうか。
グループが出きれば変なアダ名を付けたがる。
例えば、私なら美桜だから…みおちむ?ぶはっ。
自分でも可笑しくて笑ってしまうくらいだ。
「美桜?なに笑ってるの?」

考えてることが顔に出ていたみたいだ。

キーンコーンカーンコーン♪

朝のホームルーム開始を告げるチャイムと共に、担任が教室に入ってきた。
どうも私はこの担任と気があわないらしい。
担任の言うこと一つ一つ苛々するからだ。

担任の名前は高城和騎、これでも今年大卒したのか?と言うくらいのふけ顔だ。

キーンコーンカーンコーン♪

いつの間にか朝のホームルームの終わりを告げるチャイム。
「月曜って、一番だるいよねぇ。」

休み時間になるとすぐに私の席に来て愚痴を言う真姫は、私の親友なんだろうなと実感した。
「ほんとだね。一週間長いから。」
なんてくだらない話が面白かったりした。

「美桜!」
次に私のところに来たのは、担任の高城先生だった。
なぜかこの担任は、女子は名前を呼び捨て。男子は、苗字をと変わっていた。

「は、はいっ。なんですか?」
「ちょっと、付いてきてくれ。」

これがすべての始まり。
自分で扉を開いてしまった。
今更考えてしまう、あの時ついて行ってなかったらって。

でも、幸せになれたんだ。
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