年の差とか。

「これ。」
連れて来られたのは進路指導室。
一年の私にはまだ来る必要のない部屋だ。

「え。」
渡された紙を見て、私は自分の目を疑った。
「う、嘘ですよね?ありえないです。」

担任の担当科目は数学。
「見てわからないのか?クラスでお前だけだ。」
なんて嬉しくない言葉なんだろう。
一年の夏だったからよかったと思えばいいのか、これからの楽しみが全て壊されたと言ってもいいのか。

バイトして、プール行って日焼けして、服もたくさん買ってお化粧なんてしてみたり?って、私の妄想。
それが今、崩れたんだ。

あーあ、頑張っておけばなんてこうならなきゃ分からない。
後悔ばかりしていたって仕方ない。

親にどう話せばいいのかと悩んだが、これをどうすることも出来ず、頑張るか。そう思うことにした。

「大丈夫だよ。五日間だけだし、どうせ担当は俺だしな。」
見たことも無いような笑顔だ。
こいつ、Sか。なんてどうでもいい。
「え、五日間だけなの?」
夏休みのお盆期間以外は潰れてしまうと思っていたあたしには、嬉しい知らせだった。
「そうだけど?」
喜ぶ私に、担任が口角を少しだけ上げたのを気づかはずもなく。

何度見ても受け取った紙には、赤点、数学の文字。
そういえば、数学七点だった事を思い出した。
頑張ろう。
夏休みが五日だけなくなってしまっただけだ。

もうすぐ楽しみにしていた夏休みが始まる。
高校生になり、少し背伸びしたい私たちに、神様は微笑んでくれる??
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