伝わらない、伝えられない
その答えはsideちとせ
『今日は四人で遊ぼうよ!ホームルーム終わったら教室に行くから、明と待ってて?』
昼休みに葵にそう言われて自分のクラスで待っていたけど、中々二人が来る気配がない。
「遅いなぁ…」
「葵達の教室に行ってみよっか?」
明の言葉に頷くと、一緒に葵達の教室に向かう。
でも、そこにも悠斗と葵の姿はなくて…
「帰った、とかじゃないよね?」
「鞄も置いてるし違うだろうね…ちょっと職員室見に行ってくるよ」
「じゃああたしは違う場所見てみる。会ったら連絡ちょうだい?」
手分けして二人を探すことに。二年の教室を全て覗いたけど、悠斗も葵も見当たらない…
そこで思い付いたのが屋上。最近よく集まる場所でもあるから。
階段を登ると二人の声が聞こえてくる。
やっぱりここに居たのか。
「俺は葵が…好きだ」
近付くあたしの耳にそれは入ってきた。その言葉に頭も体も固まる。
いつか葵に告げるんだろうなって思ってた。
思ってたけど、それは余りにもいきなりの展開で。
胸がこれ以上ないってくらいズキズキと痛くなる。
ここから離れよう…
二人が気付いてしまわないように、あたしはゆっくりと後ろへ下がる。