伝わらない、伝えられない
「い、一体、なに?なんで、こんな事…?」
考えれば考えるほど混乱は増していく。
さっきまで流れ出ていた涙はあまりの驚きに止まったようだ。
一体何だというのだろう。
今のキスの意味を…あたしはさっぱり理解できていない。
そんなあたしを悠斗は再び抱きしめてきて、
「離、して…」
とりあえず、一旦冷静になりたい。
でもこんな状態じゃ落ち着けるはずもなく、離れようと胸板を押した。
だけど必死に力を加えているのに、びくともしなくて…
「絶対離してやんねぇ」
頭上から悠斗の声が聞こえてきた。
いつもと違うその距離感に鼓動が早まっていく…
「ちとせ…お前が好きだ」
少し間を置いて悠斗がそう話し出した。
そして、それと共に抱きしめる力を少し強めてくる。
何、それ…
悠斗の言葉が、何回もあたしの頭で繰り返される。
好き…
誰が、誰を?
悠斗が……あたし、を…?
え、えっ、ちょっと待って?
そんなのおかしいって!
だって、だってさ、悠斗が好きなのは…