伝わらない、伝えられない
「でも、それって親友に対しての“好き”って感情だったんだ。葵にそれを気付かされた…」
「しん、ゆう?」
ちとせの言葉に俺は頷き、その続きを話はじめた。
「そう。告白したら
『私が好きならキスしてみて』
って言われて…けど、出来なかった。
葵に対しての“好き”は恋愛感情じゃないのが分かったから」
俺の話を聞いていたちとせは、今のを耳にすると小難しい顔を続ける。
当たり前だわな。
俺がもしちとせの立場だったとしても、理解するのに時間かかるだろうし…
「と、とと、取りあえず落ち着こう!一旦席に座りまする」
「あぁ、確かに」
これは落ち着いた方が良さそうだな…
パンク寸前のちとせと二人して、またテーブルへと戻る。でもまたちとせは立ち上がって…
「の、喉乾いたから…お茶入れるね?」
「手伝おうか?」
「大丈夫!ち、ちょっと待っててね」
そう言っておぼつかない足取りで、キッチンへと一人向かって行った。