伝わらない、伝えられない
通じた想いsideちとせ


「ふぅ…」



お茶を飲んで一息つく。それでもあたしの心は落ち着かなくて…


うん。一回ここで整理してみよう。


悠斗は葵が好きだった。でもそれは友達にとっての好きで…


じゃああたしが明に感じてるような気持ちと同じって事?


ま、まぁここまでは百歩譲って納得したとして…それでも。


何故にあたしを好きってことになるんだ?



「あの、ですね…」


「ん?」


「葵と付き合わないのは理解できたけど…
どうしてあたしが好き、という話になるのでしょうか」



ずっと好きになってくれないかと望んでいた。


でも、叶わない願いなんだって諦めていたのに…それなのに。


それがいきなりキスされて、好きって言われて…


はい、そうですかってならないでしょうよ!



「あぁ、そうだよな…わりぃな。先走って」



あたしの質問に少し呆けた顔をしていた悠斗だったけど、そう言うとコホンと咳払いをして真剣な表情であたしを見据えた。



「葵にさ、言われたんだ。勘違いしちゃいけないって」


「勘違い?」



悠斗の言うその意味が分からずに、あたしは小首を傾げる。


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