伝わらない、伝えられない
恥ずかしすぎて顔がのぼせそうだ。
まともに目を合わせる事も出来なくて…
もう普段とは比べ物にならない位心臓の音が大きい。
「ちとせ」
気が付けば向かいに座っているはずの悠斗が真横に立っている。そして…
「ゆう…!」
名前を呼ぶ間もなくまた抱きしめられた。
もう展開の早さについていけない。頭がぐるぐると回っているみたいな…
「本当に…俺達本当に両想いなんだよな?」
耳元で聞こえてくる悠斗の声。
それは心なしか震えているような…
「う、うん。本当」
見えないのは分かっているのに、あたしはコクコクと頷いた。
そうしたら抱きしめる力が少しだけ強くなって…
「よっしゃー!マジ嬉しいわ」
いつも落ち着いた様子の悠斗がこんなにもはしゃいでいる。
その原因があたしだと思うと顔が綻んでいく。
また距離を開けてお互いを見合う。
悠斗の顔は見たことのない程に赤くなっていて…
なんか、ちょっと可愛いかも…
「あたしも、スゴイ嬉しい」
どういう顔をしていいのか分からなくて、あたしは少しはにかんで悠斗を見つめた。