伝わらない、伝えられない
「…んっ、…ふ」
ヤバッ、その声は反則だろっ。
抑えるどころか……俺はもっとちとせを欲してしまった。
キスをし終えると、ちとせが俺の方へとなだれ込んでくる。
互いの息遣いだけが部屋の中を満たしている。
「ゴメン。やり過ぎたよな…」
苦しそうにしているちとせを見て、無我夢中になった自分に少し後悔。
でもちとせは首を左右に振ると…
「ううん。幸せ…だから」
そう言ってふわりと笑ってくれた。
こ、こいつは…どれだけ俺を虜にさせれば気がすむのか。
ちゃんとした想いが分かったのはほんの少し前なのに、
どんどんどんどん、怖いほどにちとせに溺れていきそうで。
都合が良すぎる。
そんなのは理解している。
だけどこの鼓動の速さにら俺は購うことなど出来ない。
俺はもう一度軽いキスを一回した。
「これからは…ただの友達じゃない。彼氏としてちとせの傍にいるから」
その言葉を誓うように、ちとせの手の甲に唇を寄せた。
すると顔を赤らめてると共に目がだんだんと潤んでくる。