伝わらない、伝えられない
「後悔するなら…はじめからしなきゃ良いのに」
「してないよ。ちゃんと自分の想い、伝えたかったし」
そう話し振り返った明の表情はどこかスッキリしていて…
言い訳を言っているようでもないみたいだ。
「まぁ明が良いなら…私は構わないけどさ?」
そう言ってはいるものの、葵の顔付きはかなり不満げに見える。
「心配してくれてるの?ありがとね」
明はクスッと笑うと、葵の頭をそっと撫でた。
まるで子供をあやす時にするような…そんな手つきで。
「いつまで経っても、私のこと…子ども扱いしてるよね?」
「そんな事ないって、葵は充分大人っぽいよ」
「…なんでそういう事、さらっと言えちゃうのかな」