伝わらない、伝えられない
気になることsideちとせ
「悠斗がここ来るとか珍しいね?」
「まぁな。ここまで上るの骨折れるし」
「十代が何言っんだか」
旗から見ればなんの変哲もない会話。
けれど、あたしの頭の中では…
なんで、どうして?
そればかりが呼応する。
ここはあたしのお気に入りの場所。
デートスポットで知られている公園にはたくさんの人が来るけれど、奥まった場所にあるここへ来る人は中々いない。
葵や明、もちろん悠斗とも一緒に来たことがなかったから……
ついつい、あたししか知らないんだと思っていた。
だから悠斗が来るなんて予想外で……
偶然というのは時に恐ろしい。
落ち着かなきゃ!
平常心、平常心……
そう思っても、上手くはいかなくて。