伝わらない、伝えられない
帰り際side悠斗
「部活終わったとこ?」
自分の言い知れない気持ちにモヤモヤしていると、向こうから話しかけられた。
考えて険しくなっていた顔を元に戻すと、ちとせに返事をする。
「あー、そうそう。それで喉乾いたし休憩がてらにな?」
缶のジュースをゴクゴクと飲んだ。
学校でも同じように話しているのに、何故か慌ててしまう。
「部活あると異常に喉渇くもんねー」
そう言って、隣でいつものように笑っているちとせ。
さっきの雰囲気はさっぱりとなくなっている。
周りを笑顔にさせられる。
そんな力のある笑顔。
それを見ていると、哀しみを帯びた横顔…
その理由を聞くことが出来なかった。