伝わらない、伝えられない


「最近、ちゃんと食べてんの? 前にも増してガリガリになった気が…」


「た、食べてるよ!」


「そうか?」



ある程度の品物をかごに入れてレジに並んでいると、悠斗があたしを上から下まで見てくる。


否定した通り、ちゃんと食べてはいる。


だけど平日のバイトがある日は働けるギリギリの22時まで入っているから、作って食べる時間や体力がなくなってしまって。


コンビニのお弁当とかパンを買って食べている。たまにカップ麺とか…


量的には十分なんだけど、栄養的にはきっと足りてないと思う。


だからこそバイトのない日は栄養のある物を作ろうとしている訳で。



「今日バイトないんだったら、俺の家で食べてく?」


「え?…いや、それはご迷惑になるから!」


「別に気にしねーって。葵なんか遠慮したこともないし」



ズキッ―――


悠斗が何気なく言う『葵』という言葉に胸が痛む。


何処にいても、悠斗の中には葵がいるんだ。


その存在の大きさに嫉妬してしまう。


悠斗の家でご馳走になる時は葵も駆け付けてくる。


賑やかなのは好きだし、葵と一緒なのは嬉しいんだけど…


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