伝わらない、伝えられない
正直、先輩が話してくれた時はすごく驚いた。
でも先輩が選んだ人だし、弥生さんが良い人だっていうのは知っていたから…
すんなりと事実を受け入れられた。
だけどこれはバレたら絶対大事になる。
だからこれは三人の秘密となっている。
少なくとも先輩が卒業するまでは。
嘘をつくのが下手なあたしが唯一、仲の良い三人にも一切話していない重要事項だ。
「ご飯食べていきなよ。今日ハンバーグらしいぞ?」
その言葉を聞き、あたしは目を輝かせた。
弥生さんのハンバーグ大好き!
「ごちそうになりまーす!」
そんなあたしの様子を見て、弥生さんと拓真先輩はニッコリと笑った。
「じゃあ腕によりを掛けて作りますか!」
「あたしもお手伝いしますね!」
テンションの高い弥生さんに合わせるかのように、明るく努めるあたし。
せめて、先輩達といる間は、悠斗のことを忘れてしまいたかったから…