伝わらない、伝えられない
自分の気持ちsideちとせ
先輩を連れ出したあたしは、人が少ないと思われる屋上へ行くことにした。
ここなら人目を気にする必要もないという考えでだ。
「どういうつもりなんですか!? あれじゃますます噂が広まっちゃいますって!」
私はキョロキョロと周りを見渡し誰も居ないことを確認すると、先輩へと勢いよく詰め寄った。
「噂?」
「拓真先輩と、その、付き合ってるとか、何とか…」
あたしもあんな噂が飛び交っているなんて知らなかった。
クラスメイト達の話していた会話を思い出して顔が赤くなる。
「あぁあれね、ただの噂だし気にする事でもないじゃん」
「気になりますよ! 弥生さんの耳にでも入ったりしたらどうするんですか?」
それにもし明達に勘違いされたら…
現に周りのクラスメイトは噂を完全に信じきってるようだったし。
「弥生が俺とちとせの関係を疑うって?ないない」
笑いながら先輩はあたしの話を完全否定。
それはあれか?
あたしじゃ先輩の相手になるはずもないと?
そりゃ事実だけど、何も笑い飛ばすこともないんじゃ…