伝わらない、伝えられない
俺の言葉にちとせはさらに驚いた顔をして見せた。
だけどそれは一瞬で、見たこともない様な真面目な顔へと変わっていった。
「葵と悠斗は小さい頃から、ずっと一緒に居たんだもんね?
それに葵か…うん。好きになる気持ち、分かるよ」
そう言って、ふわりと柔らかい笑顔を俺に向ける。
コイツとも長い付き合いになるのに、こんな大人びた様子のちとせを…俺は初めて見た。
その姿に目が釘付けになる…
少しの間の沈黙。
交わる視線…
じっと見られている事に恥ずかしくなったのか、ちとせは目線をバッと下に落とした。