伝わらない、伝えられない
悠斗が少し離れた場所にいる三人と目を合わせる。
このまま行ってくれるんだ、そう思ってホッとしていたのに。
「今日はこれで解散な? 次会った時になんか奢ってやるよ」
あたしの期待とはかけ離れた悠斗の言葉。
それは一緒にいた男子も同じようで。
「「えー!?」」
「久しぶりに会ったのにそりゃないっすよ!」
「飯行きましょうよ~。何なら先輩のお友達も一緒に……っっ!」
悠斗を説得しようと必死な彼ら。
所々敬語なのをみると後輩なんだろうか?
数々の言葉を投げかけていたのに、一斉に静かになってしまった。
「じゃあこいつ送っていくわ」
悠斗がこっちへ来たと思えばあたしの手首を掴む。
「え?」
今言ったことに対して耳を疑う。
どうやら悠斗はあたしと帰るつもりらしい。
それに対して、次は反論の声は聞こえてこない。
「あ、あたしなら大丈夫だからご飯食べに行っても…」
「行くぞ」
話している途中にも関わらず強引にあたしを連れ出す悠斗。
話ぐらい最後まで聞けよ!
そう思っても何故か言葉には出せなくて、黙ったまま手を引かれていった。
男の子達の不満そうな視線を感じながら…