伝わらない、伝えられない


悠斗と一緒に帰ったあの日から数日経ち…


学校は春休みに入った。


新しい学年に上がるこの期間は、課題もなく絶好の稼ぎ時!


だから、あたしは結構なペースでバイトに入っていた。


あたしが働かせてもらっているのは、駅から5分ほど歩いた所にあるケーキ屋さん。


販売の方を手伝っているんだけど、そのお店の制服が物凄く可愛い。


もうそれはあたしなんかが着たらもったいない位で…


三人が働いている時に何度か来たことがあったけど…


初めて来店した時なんか、似合ってないからか絶句してた位だし。



「お疲れ様です」



交代で入った人へ挨拶をして裏口から出る。


今日は朝からのシフトだったからまだ時間が早い。


それでもまだ季節的に日が暮れるのが早く、空は紫がかっていた…


もう食材も少なくなってきたし、買い物して帰るか。


いつもは行かない駅前のスーパーへと足を向ける。


今日は確か魚の安売りをしてたから…メインは魚かな?


そんな考えを巡らせていると、見知った後ろ姿が目に飛び込んできた。


悠斗…と、葵…


二人は後ろにいるあたしに気付くはずもなく歩いていく。


その見た目はどう見ても恋人のそれで…


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