伝わらない、伝えられない
決意と疑念side悠斗
春休みに入ったけれど、結局部活で学校には来なきゃいけない。
今日は練習相手をさせられてずっと出っぱなしだったから疲れた…
「「あっ」」
「悠斗も今帰り?」
「おぅ、まぁな」
終わって校門を出ようとした時、葵と出会した。
そのまま二人で喋りながら通学路を歩いていく。
「なんか小腹が空いちゃった!甘いものでも食べに行かない?」
「お前…毎朝おやつ食べてるくせに」
あぁ、葵といると気兼ねしなくて良いから楽だ。
こういう穏やかな時間が特に気に入っている。
焦ったり感情的にならずに済むから…
俺がそうなってしまう人物。それはたった一人しか居ないが、
俺の頭にちとせがちらつく。
良い意味でも悪い意味でも、あいつは存在がでかいからな。
「それでさ、その時のちとせの話が面白くて…」
葵と二人の時は大半がちとせの話をしている。
基本一方的に葵が喋ることが多いんだけど…
「葵はちとせが好きすぎるだろ」
学校から駅前までずっとちとせの話題ばっかりだった。
それでも一回聞いた話が全く出ないのはスゴい。