伝わらない、伝えられない
新たな変化sideちとせ
あの日からあたしは決心した。悠斗の恋を応援しようって。
きっとあたしは今まで、心の中で期待してたんだよね…
思っていれば、いつか振り向いてくれる時が来るんじゃないかって、
どんなに悠斗を好きでいても、その気持ちに応えてもらえない事くらい分かってたはずなのに。
でも、あの時の悠斗の表情を見て吹っ切れた!
あれじゃどんなに頑張っても無理な気しかしないもん。
だから、今度は視点を変えてみようと思いまして…
愛だの恋だのそういう事をぜーんぶクリアにしたとしても、悠斗と葵はあたしの大切な友達に違いはない。
大切な人には…幸せになってもらいたいからね?
実のところ、あたしは葵に好きな人がいるのかを知らない。
親友なのに知らないの?と思った方もいるだろうけど…本音を言うと怖かった。
葵の口から『悠斗が好きだ』って聞いてしまうかもしれない事が、
あたしって本当に臆病者だわ。
こんなんじゃ…振り向いてもらえないのは当然、か。
深く吐いたため息。
それが暗い部屋の中へと、静かに溶け込んでいった。