伝わらない、伝えられない
ちょっと久しぶりの学校。
あたしの春休みは、ほぼ希望通りにバイトで埋め尽くされていた。
だから部活動で登校している友達とは違い、結構な間隔で来ることはなく…
少し来ないだけで何か懐かしみを感じてしまう。
あたしも二年生に上がったんだなぁ…
そうは思いつつも実感は全然ない。
あっ、そういえばクラス替えが貼り出されてるんだっけ。
周りの人達が靴箱とは真逆へと向かっている事で思い出した。
危ない危ない。そのまま一年の教室に行っちゃう所だったよ。
笑い者にならずに済んだと安心しながら、掲示板へと足を運ぶ。
どうやら二、三年とも同じ場所に貼られているようで、掲示板前にはたくさんの人だかりが出来ていた。
その中から見つけてしまった葵と悠斗の姿。
胸が少しの痛みを伴う。
大丈夫…
いつも通り、賑やかなあたしのままで現れるんだ。
そうすれば誰にも変に思われる事はない。
冷静な頭とは違い体は正直で、踏み出す足が緊張で震える。
そこで心を落ち着かせようと、その場であたしは深呼吸を一回した。