伝わらない、伝えられない

「ちとせぇ…クラス離れちゃってるよ、さみしいよ～」


「えっ？」



二人へと近付いていくと、葵がうなだれながら放った言葉。


それに反応して上を見る。


自分の名前よりも先に目に飛び込んできたもの。


それは葵と悠斗の名前だった。


同じ組に載っている二人。その前を見ても後ろを見ても、明やあたしの名前はない。


それで思い知らされる。


葵と悠斗は当然のように一緒に居るんだってことが…


胸が苦しくて、顔が歪む。


でも悟られたくない、その一心で元の表情に戻した。



「二人と違うクラスなんてショック過ぎるー！でもでも、お昼はまた集まって食べよう、ね？」



そう言って葵へ手を握ると、悲しそうにしていた表情が笑顔へと変わっていく。


その微笑みを見て、やっぱり葵には勝てっこないなって思ったりして。


二人と離れてしまうのがショックなのは本音。


でも、仲の良い二人の姿を少しは見なくて済む…


そう思うと、少しホッとしている自分がいた。