伝わらない、伝えられない

混乱する頭とは裏腹に心の内ではちゃんと分かっていた。


明は本気で言ってくれてるんだって事が…


だってこんな明の真剣な顔、今まで見たことのないものだったから。



「好きなんだ、ちとせのこと」



「えっと、その…」



どう返していいのか分からずに俯く。


告白されたのは今回が初めてって訳じゃない。


その度にあたしの答えは決まっていてすぐに断っていた。


でも、目の前にいるのは明だから…


二人でバカな事しあったり、時には困ったことがあると支えてくれる。


悠斗や葵と同じ位、かけがえのない大切な人の一人で…


そんな明の気持ちを、あたしは無下にしてしまいたくなかった。