伝わらない、伝えられない
「返事は今じゃなくていいから…少し考えてくれる?」
「うん…」
明の言葉にただただ頷く。
あたしもすぐに返事は出来なかったから…
「あ、葵達…来るの遅いね?」
「そうだね」
気まずい空気が二人の間に流れる。
その雰囲気に耐えきれず、あたしは関係ない話をぺらぺらと喋り続けていた。
葵と悠斗が来てからもついつい意識が明へと向かっていく。
ふいに目が合い顔が熱くなるのが分かった。
告白された時は緊張したりしちゃうけど…
ここまで胸が高鳴ったのは初めてのことで。
そりゃそうだよ、こんな綺麗な男の子に告白されたら誰だって…
緊張でドキドキする胸を、浅い深呼吸をして落ち着かせた。
その様子を葵と悠斗が見ているなんて、気付きもせずに…