伝わらない、伝えられない
眩しいほどの太陽に照らされながら、バイトまでの道のりを歩く。
アスファルトから反射する熱に少しクラクラとしてしまいそうになった。
でも明に限らず告白する人は凄いよね。
相手の答えが分からなくても、きちんと自分の気持ちを伝えるんだから。
それに比べてあたしはどうだろう?
もう分かりきってる事だと想いを告げることもせずに逃げてばっかり。
どう言い訳していても今の関係が壊れてしまうのが怖いんだ、傷付くのが嫌なんだ。
一歩踏み出す勇気もない臆病なあたし。
明のように強くなりたい。
周りの皆はあたしをたくましいとか強いって言ってくれるけど…
所詮そんなのは強がってるだけなんだよね。自分でも理解してる。
だって本当のあたしは一人の人に告白をするのさえ気後れしてる、そんな奴だから…
弱いあたしを知ったら、皆はどう感じるのかな?
ボーッと一人で余計なことばかり考えてしまう。
暑さに冒されてしまったのだろうか?
悶々とする気持ちを打ち消すように頭を左右に振ると、バイトのことに頭を切り替えようとした。