伝わらない、伝えられない
いつもより少し早めに登校したあたし。
教室には向かわずに屋上で明を待っていた。
今日こそは告白の返事を、あたしの気持ちを言おうと心に決めて…
「おはよう」
聞こえてきた馴染みのある声。
振り返ると、明が後ろに立っていた。
「お、おはよう」
頭の中で言おうと用意していた言葉。
それは明を見た瞬間に、ものの見事に消え去っていってしまった。
二人ともしばらく黙ったままで…
「少しは考えてくれた?」
少しの沈黙のあと、笑顔でそう聞いてくる明をみると罪悪感でいっぱいになる。
でも真剣に告白してくれたんだもん。あたしだってちゃんと打ち明けないと!
「…えっと、あのね?明の事はすごく好き、なんだ。でもそれは…友達、としての好きでさ?
それに!あたしには好きな人が…」
「知ってる。悠斗、だろ?」
遮られたあたしの言葉。
だけどそんなのはどうでも良くて。
悠斗を好きだと…知ってる?
じゃあ何で明は告白をしようと思ったの?
混乱したあたしの頭では、今の状況についていけない。