伝わらない、伝えられない
一つの答えside悠斗
「ちとせぇ。パン買いにいくの付き合って?」
朝ちとせと葵と三人で廊下にいると、登校して来たばかりの明がそう言い放つ。
「また~?カフェオレで手を打ちましょう」
「現金だな。じゃあ葵、悠斗。昼休みにな!」
手を振る二人に葵と一緒に振り返す。
先日からちとせは、明に対してのよそよそしい態度がなくなった感じがする。
告白する前に戻ったというか、前にも増して仲が良くなったような。
まさか付き合ってんのか?
でもそれならそれで、俺と葵に報告ぐらいあっても良いはずだし…
もしかしてタイミングを図ってるとか?
二人のことが頭の中をぐるぐると廻る。
ちとせと明が付き合おうが、今までと何ら変わりない関係は続く。
なのに気になって仕方なくて…
一度分かってしまった想いはそう簡単に消せないらしい。
そんな自分にイライラが収まらない。
角を曲がるまでの間、楽しそうに話す二人を見つめていた。