◇◆近距離恋愛◆◇
美海のそんな言葉にツンと胸をつかれた
近いようで遠い
こんな距離
俺と美海
幼馴染みというちょっとした距離
そんなことを言いたかったのだろうか
きっとこのまま行けば
何日後、何ヵ月後には
もっとたくさんの隙間が広がると思う
だから今、聞きたいことがある
「美海、バレンタイン…。チーズケーキ作ったんだって?」
俺のそんな問いに
焦りを隠すためか自分の髪の毛をさりげなく触れる
「う、うん。何で?知ってるの?」
「ユミコさんから聞いた…。それもしかして俺にー」
「隼人にじゃないよ!違うよ!違う…。
美海の好きな人。偶然だよね、その人も隼人と一緒でチョコレート食べれないの」
俺の言葉を掻き消すかのように喋る美海の顔は笑っていた
「もしかして自分にだと思っちゃった?もう、自意識過剰なんだから!
今さら、隼人になんか作んないよ」