◇◆近距離恋愛◆◇

そんなことを考えていると自然と熱くなり、体は勝手に動き出す



でも、
俺が立ち上がった瞬間
強く握られる腕



すぐ後ろから聞こえるひかるの震える声



「行かないで…。お願い!行かないで!」



部屋に響く声に足を止められ、俺は困惑する



「でも、俺…。」
「わかってる。でもさ、美海ちゃん他に好きな人いるんだよ?今もしかしたらその人といるかもしれないし、いないとしても隼人くんなんて待ってないよ!

今美海ちゃんが必要としてるのは隼人くんじゃないんだよ?


でも、ひかるには隼人くんが必要なの」



唇を噛み締めながら俺をまっすぐ見つめるひかる



そうだよな…
あいつは俺なんか必要としてない



わかってたけど
誰かに言い聞かされるとやっぱり辛くて…


足の力はなくなり、走り出す勇気すらどこかへ行ってしまった



ほんと俺って
弱い男



好きな人に好きと伝えることがこんなに難しいことなんて知りもしなかった



自分が必要とする人を追い続けること


自分を必要としてくれる人を受け入れること



人はどっちが幸せなのだろう


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