◇◆近距離恋愛◆◇
「今日は無理やり家来ちゃってごめんね?」
ひかるは申し訳なさそうに、そして恥ずかしそうに
手を後ろに隠して俺を見上げる
「あぁ、大丈夫。もう遅いし家まで送る」
やっぱり一人で帰すのは心配だし
男として無責任にはなりたくない
「ふふ、そんなに優しいからどんどん好きになっちゃうの!大丈夫だよ?
でも…」
ひかるは俺といて幸せなのだろうか
俺の気持ちはないと気づきながらも
それは強いからなのか
それとも弱いからなのか
そんなことを考えているとひかるは急に俺の手をとると
グッと背伸びをした
そんな仕草と同時に唇に触れる柔らかい感覚
愛が溢れだした行為
それでも俺には愛はなかった
俺は、
目の前の光景に目が離せない
焦りと同様がごちゃごちゃに交差する
これはいわゆるキスをされたということで
そしてちょうど唇が離れた瞬間
目の前に映ったものは
唇を噛みしめ、俺たちを見つめる美海の姿があった