◇◆近距離恋愛◆◇
美海は俺と目が合っても反らすこともせずにポカンッと眺めていた
そんな美海の目は何を映しているのだろう
この情景をどう映しているのだろう
そして君は今
なにを想っているのだろう
俺の表情から悟ったのかひかるも振り返り美海を見た
「あっ!美海ちゃん…。ごめんね?恥ずかしいところ見せちゃったね♪
あと、今日のこと気にしてないから大丈夫だよ」
ひかるが微笑んで話しかけると美海はそっと俺から目を背けた
「今日の、こと?」
「もう忘れちゃった?美海ちゃんがひかるのこと殴ったこと…。
ひかる、ああゆうことされるの初めてだからショックだった。でも美海ちゃんのこと好きだから許してあげる」
ひかるのそんな言葉に美海は口元だけ笑って見せた
「…ありがとう。ごめん、ね」
微かな声で謝ると足早に俺たちの隣を通りすぎる
「美海!」
「?!」
何故かこのまま行ってしまうのが嫌で
声をかけてしまった俺
美海は振り返らずに背を向けたまま立ち止まった