◇◆近距離恋愛◆◇

美海サイド


教室から飛び出したあたしはひたすら走って


ひたすら一人隼斗のあの顔を思い出した



あのあたしを軽蔑するような冷たい目を



何度も何粒も
零れる涙
頬を伝う涙



そんな滴を冬の冷たい風は氷のように冷たく、残酷なものにした



こんなにも苦しくて
こんなにも冷たくて
そんな思いをしても


隼斗のことを忘れることはできなかった



こんなにも切なくて
こんなにも寂しいのに
隼斗はあたしを見てなんかくれなかった



今頃柴崎さんの隣に寄り添って


肩を優しく抱いて


「あいつはああゆう奴だから気にすんな」


とかうまく慰めているのかな?



今まではこんな風に寂しい時はいつも隣にいてくれたのに



ばかだなって笑って
大丈夫って頭撫でてくれたのに



気づいたときにはもう
君は隣にいなかった



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