◇◆近距離恋愛◆◇

時計を見ればもう10時過ぎ



ほんとは帰りたくなんかない



だけど仕方なく帰るしかない居場所のないあたし



とぼとぼとなかなか進まない足を無理やり動かし家へ向かった



そして曲がり角を曲がった瞬間目に映ったものとは



二人の唇が重なる瞬間



何故ついていない日は
こんなにもとことんついていないんだろう



ふと隼斗と目が合っても
目を反らす余裕すらなかった



悲しいとか
衝撃とか
そんなもんじゃなくて



なにも分からなくて
理解できない
理解したくない



あたしの心は麻痺していた


そんなときに思い出した
あたしのファーストキス


あの日隼斗にされた
はじめてのキス



やっぱり隼斗は誰でもよかったんだ



あたしはあんなに大事にしていたのに



隼斗にとってはいくつかの中にあるおまけのキス



それでもあたしは
今でも
隼斗のキスを受け入れるだろう



< 250 / 275 >

この作品をシェア

pagetop