◇◆近距離恋愛◆◇
時計を見ればもう10時過ぎ
ほんとは帰りたくなんかない
だけど仕方なく帰るしかない居場所のないあたし
とぼとぼとなかなか進まない足を無理やり動かし家へ向かった
そして曲がり角を曲がった瞬間目に映ったものとは
二人の唇が重なる瞬間
何故ついていない日は
こんなにもとことんついていないんだろう
ふと隼斗と目が合っても
目を反らす余裕すらなかった
悲しいとか
衝撃とか
そんなもんじゃなくて
なにも分からなくて
理解できない
理解したくない
あたしの心は麻痺していた
そんなときに思い出した
あたしのファーストキス
あの日隼斗にされた
はじめてのキス
やっぱり隼斗は誰でもよかったんだ
あたしはあんなに大事にしていたのに
隼斗にとってはいくつかの中にあるおまけのキス
それでもあたしは
今でも
隼斗のキスを受け入れるだろう