◇◆近距離恋愛◆◇
「隼人くん!どこいってたの?」
教室に帰るとひかるがまっさきに俺に駆け寄ってきた
「あぁ、ちょっとトイレ」
適当にそう答えるとひかるは
寂しかった
と甲高い声をだし、俺の腕に絡み付いてくる
こんな5分程度の時間だけでそんなこと言われても
と考えると絡み付いてくる腕にも嫌気がさす
だけど嫌だなんてはっきり言えない
きっとひかるは泣くから
そんな自分の中のやりとりをずっと繰り返してきた
ひかるが泣かないかわりに好きな人を泣かせていたなんて
このときの俺は気づきもしなかった
「ねぇ、隼人くん!今日部活ないでしょ?
アイスクリーム食べに行きたいな♪」
そんなひかるの言葉を聞きながら
ノートを見つめた
「わりぃ…。今日部活の先輩と遊ぶんだ。
さすがに断れなねぇから、ごめんな」
そんなありきたりな嘘を並べて
手元にあったノートをそっと鞄の中へ隠した