◇◆近距離恋愛◆◇


俺は振り返りもう一度美海の隣に行くと


美海は体を寝かせたまま俺の方へと向けた



美海の目は腫れていて
どんなに泣いたかが想像できないほどだった



「ごめんな、起こしちゃって」



そんな俺の言葉に美海はゆっくり首をふると
笑わずに口を開いた



「なんで…いるの?」



どうしようもなくその言葉が苦しくてしょうがない


昔ならいきなり部屋に来ても当たり前のように接してくれたのに


今ではそれが珍しいんだ


「えっと、高橋にノート渡せって言われてさ」



理由をのべると美海は寂しそうな目をして


「そっか…」とだけいってだまりこむ


二人の間に流れ込むぎこちない空気が


苦しくて
悲しくて
切なくて


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