◇◆近距離恋愛◆◇


覚えててくれたんだ
あたしはみかんが好きで
隼人はぶどうが好き



懐かしいな…



「たべる…。」



少しずつ頬が緩むことに自分で気づく



そんなあたしの表情を見ると隼人も笑う



「やっと笑った。やっぱ食べ物が出ると顔が違うよな!

座れる?」



「うるさいわね!だってみかん好きなんだもん


うん。大丈夫」



そんな意地悪っぽい言い方をする隼人が大好き



こんな些細ないいあいが
幸せで
大切



あたしがベッドに座ると隼人はスプーンにゼリーとミカンをのせてあたしの口に近づける



「大丈夫だよ!自分で食べれるもん」



顔が熱くなることを感じながら俯くと隼人はいたずらっぽく笑う



「いーの!一応病人だし今日くらい甘えろよ」



そんな言葉に
ドキドキして
胸がキュッと締め付けられる



そんな言葉言わないでよ
もっともっと好きになっちゃうよ


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