シルバーブレット
「いい加減にしろっ!」


「くっっ……」



先程蘇芽に受けた衝撃が今更出てきたのか、目の前が更に霞んできた。


しかも動き回ったせいで余計に傷口から血が流れ出している様で、ブラウスの襟元が濡れているのを感じていた。



ガンッ



「い゛っっ…………――――」



「煌姉ちゃん!!」



鈍い音が響く。


目を瞑っていた春貴は、音に驚き顔をあげた。



「はぁはぁ……はぁ……。まったく最初からそうして下さいよ。」



烏田切は乱れたスーツを整えると、死守した拳銃で再び銃口を煌に向ける。



「……っこんの、ヤ、クザ…風情が……」



煌は、崩れ落ちる様に烏田切の目の前に倒れ込んだ。


先程の鈍い音の正体は、角材が煌に降り下ろされた音。

その角材は、蘇芽が手にしていたものだ。

煌を引き剥がす為に、転がっていたのを烏田切の言葉に外国人の1人が使ったのである。



「(結灰っっ!!!)」



隼弥は手をこまねいている自分が情けなく、また目の前の状況に堪える為に手を強く握りしめるしかなかった。
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