シルバーブレット
―――銀龍、良い名前でしょ。



「…………。」



ふと思い出された台詞。

優しい雰囲気を纏ったその人が笑顔で話す内容は、当時の煌にとって凄く物騒なものだった。


よくそんな言葉が次々と出てくるなと、呆れを通り越して感心したのを覚えている。



「(銀龍、か……)」



自身の通り名だが、自分で付けた訳じゃない。

かといって、周りが付けたのでもない。


隼弥が瀬羅に説明した銀龍の通り名の意味は、後付けされたものだ。


しかし、銀龍と名乗ったのも後付けの意味を触れ回ったのも、煌自身である。


それは、他人には理解し難いであろう本来の理由を隠す為にしたことだ。

煌だって初めは理解できなかった。

だけど真意を知って隠して良いと思った。
いや隠したいと思った。

嬉しそうに幸せそうに笑う顔を見てしまったから。



そして何より、煌は銀龍に誇りを持っている。

その名に負けない、そして恥じないように生きてきた。



意味も理由も、誰も知らなくて良い。

あの人との約束で、
あの人と描いた未来図。

くだらないと笑いあったあの人の夢。



「(銀龍は俺の……)」



存在意義、だから。
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