シルバーブレット
「離せ!」



春貴の声に、煌は現実に引き戻された。

外国人の1人が暴れる春貴を抱え、烏田切の元へ向かう。



「ノブも運びましょうか。また暴れられても困りますから、その女は縛って下さい。奥に梱包用のロープがありますから。」



烏田切の指示に、外国人3人が蘇芽を移動させる為に、もう1人がロープを探しに倉庫の奥へと、それぞれ動き始める。


煌はチャンスだと思った。

今烏田切の傍にいる外国人は、春貴を抱えている1人だけ。


外国人達にこの場の決定権は無いに等しい。

その証拠に、烏田切の言う通りにしか動いていない。


だから、自分が動いたとしても人質には取るかもしれないが、春貴を殺すという選択肢はないはずだ。


このままここから連れ出されれば、逮捕どころか春貴や蘇芽の命まで危ない。



「(ここまで、だな……)」



応援が来ても、逮捕出来なければ意味がない。


もっといえば、殺されたらそれこそ意味がない。



「(俺は銀龍で、警察官だ。)」



この窮地を脱する為に、実行に移した。

最も危険で、最も単純な、最後の手段を。
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