シルバーブレット
「制圧、完了……ってか。」



浅い呼吸を繰り返し肩で息をしながらも、全員を戦闘不能に出来たことに安堵する。


ただ、脳震盪を起こしているのか視界は歪みっぱなしで足元はふらつくし、体は重い。

冷や汗と血のせいで濡れて冷たく感じる範囲は、今ではブラウス全体に及んでいた。


暗くてよく見えない床には、自分の血か外国人達の血か、どちらか分からないがきっと飛び散っているだろう。


この状態見たら、特に隼弥とか色々面倒だなぁ、とかボンヤリと思う。



「煌姉ちゃん!!!!」



背後にある入口から逃げた筈の春貴が、自分を呼んだ。


もう敵はいない。

だから大丈夫なのに、何故そんなに危機迫る声を出すのか。



意味が分からないまま振り向いた。


最初に見えたのは、勝ち誇った様に笑みを浮かべた烏田切。


その手には、何処にあったのか最初に向けられたものとは違う拳銃が握られていた。


そして、銃口は射程距離内の自分に向いている。




―――逃げねぇと………。




その刹那、銃声は響いた。
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