シルバーブレット
「お前と緒方の関係だ!烏田切が妙なこと口走ってたからな。」


「あぁ、その事っスか?俺はいいんスけど、あっちは言いたくないみたいっスよ。」



重要なことのように志麻は感じるが、煌の方は何でもないような言い方だ。



「……何故知っている?」



口を開いた緒方の第一声は、先程からの疑問だった。



「お袋からだよ。」


「螢から……?」



結灰螢(ムカイ ホタル)、煌の母親の名前だ。


今から15年前、煌が12歳の時に35歳で亡くなっている。

未婚の母で、亡くなった後、親戚もおらず施設に預けられた煌のたった1人の肉親。

と、煌は周りに説明していた。


志麻もそう聞いていたので、烏田切が言った言葉の真実を話せ、と煌に言ったのである。



「敵対勢力である渋鷺組との抗争を治めるために、あんたに一目惚れした娘さんと無理矢理結婚したってな。」



「螢がそんなことを?だがあいつは、自分から俺の前から消えたんだ……そんなはずは……」



確かに、緒方が無理矢理、組長の娘と結婚したのは事実だった。
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