シルバーブレット
「烏田切の情報網をもってしても、容易じゃなかった。意図的に消えたなら尚更な。見つけだせた時にはもう螢はこの世にはいなかった。だが、お前がいると分かった。あの時、身籠っていると分かってたら、俺は……」



自責の念に駆られ、悔しそうに悲しそうに緒方は語る。


志麻をはじめとした捜査員も秋をはじめとした仲間も、いまだに何も言えずにいた。



「言い出さなかったのは、俺が警察官だからか?」


「ああ。不良のままだったら誘おうと思っていた。伝説の不良銀龍の名で知られていたからな。だが、お前は警察官の道を選んだ。だから止めたんだ。」



「はぁ……。何もかも知り尽くしてたらしいな。思い通りも、ここまでくると気味が悪ぃな。ったく、いい迷惑だ。」



迷惑だと言うわりには、煌はとても優しい表情をしている。



「俺が警察官になったのは、あんたの為っていうのが大きいな。」


「俺の?」



暴力団の自分と敵対するはずの警察官になることが、何故自分の為なのか。

緒方には理解出来なかった。
< 127 / 146 >

この作品をシェア

pagetop