シルバーブレット
「それが、お袋の夢だからだよ。」


「夢?」



不良で有名になると約束した。

その為に、言葉使いもそれっぽくして、武術もたしなんだ。


ささやかでも幸せな生活をおくっている未来図を描いた。

その為に、笑顔でいることをたくさん増やした。


不良で警察官になるという夢を語った。

その為に、今も続けている。



「なんでそんな事を……」



「自分の子供によくそんなこと言えるなって、俺だって最初は理解できなかった。だけど…幸せそうに笑ってたんだ。」



不良になったら近付きやすいでしょ。

幸せに暮らしてたら安心するでしょ。

警察官になったら頼もしいでしょ。


表と裏でなら変えれるかもしれないでしょ。

優しくてあたたかな世の中に。



「警察官になったら言い出さねぇかもしれねぇから、巡回と称して会いに行って。とも言ってたな。」



螢の真意を知った緒方は言葉を失う。



「俺はまぁ気にしねぇから言っても良かったんだが、お袋は無理に言わなくていいって言ってたしな。」



まぁ一課に配属されちまったから、巡回は無理だったけどな、と煌は苦笑いだ。
< 128 / 146 >

この作品をシェア

pagetop