シルバーブレット
「さて、帰るか。あいつら怒ってるかな……。」



腕時計を見ると、結構時間が経っていた。


ちょっと、が長かったな~と紅葉と梓凪の顔を思い浮かべる。



「あ……。」



帰ろうと出口方向に振り向くと、並んだ墓石の向こうに、今思い浮かべた顔が2つ。



「おまえら、なんでいんだよ。つーかいつからだ。」



「秋さんが遅いからっスよ。」

「ここだろうと思って来たら、やっぱりビンゴ。」



紅葉と梓凪は、ニヤニヤ笑っている。

遅い秋を心配し、迎えに来たようだ。



「秋さん、顔赤いですよ。」

「熱でもあるんスか?」


「うるせーよ!」



2人の様子から見られていたのが丸わかりで、秋は照れくさくて顔が赤色に染まる。



「帰りましょ。」


「……ああ。」



優しい声に顔をあげると微笑む仲間。

微笑み返し歩み始める。





――――帰ろうか。大切な人達とあたたかい居場所へ。
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