シルバーブレット
「お前も昼飯行ってこい。さっきから待ってんぞ。」



志麻が顎で示した先には、瀬羅と同期の女の子数人。


話し掛けられなかったのか、少し離れた先でこちらを窺っていた。



「あ!すみません。行ってきますー!」



「全く、世話のかかる奴らばっかりだ。」



瀬羅を見送った志麻の顔は、先程の秋と同様、まるで父親のようだ。



「志麻さん、俺達も昼飯にしますか?」

「おう。」


「今日も愛妻弁当ですか?」


「ああ。羨ましいだろう。」



自慢気に愛妻弁当を見せる志麻に、隼弥のこと言えないよな…と内心苦笑いの同僚と共に、志麻も昼食をとるのだった。



――――頑張ろうか。大事な大事な誰かの為に。
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