シルバーブレット
何の脈絡も無く突然呼び出され何事かと思って来たのだが、会ってみても話してみても至って普段通り。


そんな扇崎に刑事という職業柄、悪い方向に考えすぎたなと煌は思い直した。




「それはそうと煌、俺って言うのは止めろと何度も言ってるだろう?男言葉も。お前は女の子なんだぞ。そんなんだからいつまで経っても浮いた話が無いんだ。もう27だろ?色恋沙汰の1つや2つ……」



「あー!その話はもういい!聞き飽きた。俺は俺だ、変える気はねぇ。」



仕事から私生活に話題が変わり耳にタコが出来る程聞いている内容に煌は扇崎を遮る様に言った。



「それだけならもう戻るぞ?あんまり遅せぇと先輩がまた煩せぇからな。」



「あ、あぁ。突然呼び出してすまんかったな。」



「いや別に大丈夫だ。じゃまたな。おやっさん。」



「……あぁ、また…な。」


歩きながら手を挙げて背を向けた煌は、扇崎の複雑な顔を見ることはなく歯切れの悪い物言いにも気付くことはなかった。




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