シルバーブレット
極めて黒に近い灰色
次の日、志麻と瀬羅は木造平屋建て、所謂日本家屋と呼ばれる建物の前にいた。


大きい門の横にある表札には、癒鼬組と達筆に書かれている。


そう、昨日の捜査会議で話に出た御方龍臣に話を聞きに来たのである。




「凄いですね…」


「穏健派とはいえ、規模がでかいからな。」




見事な造りの建物に圧巻されていると、2人の声が聞こえたのか中から茶髪の若い男が出てきた。




「なんか用ですか?」


「あぁ、御方龍臣は居るか?」


「…頭ですか?ちょっと待って下さい。」



警察手帳を見せながら所在を尋ねると、男は露骨に嫌な顔をしたがそう言い残し中に入っていった。


しかし、流石は穏健派で名が通っているだけはあり物腰は丁寧である。



「居るでしょうか?」


「居てもお目通り叶えばいいんだけどな。」




5分ほどして、さっきの男が戻って来た。



「どうぞ、頭のところへ案内します。」




御方は居たようで、男について行く。


いくら穏健派でも暴力団は暴力団、警察としてなめられる訳にいかないので、歩きながら瀬羅に目配せしお互いに気を引き締める。
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