シルバーブレット
「頭、もしかして一週間ほど前に訪ねていらした男性の方では?」



「あぁ…あの男か。」



思い当たる節があった烏田切が問いかけると、御方は思い出したようである。




「やはり面識はおありでしたか。」



「えぇ。でも用件は他愛ないことでしたよ。」



「どのような?差し支えなければですが。」



烏田切は言葉を濁すが、すかさず瀬羅が切り込む。




「本当に他愛ないことですよ。うちの者が薬に手を出し、そして売り捌いているとか。しかし私達どもはその様な物には無縁です。ねぇ、頭?」



「あぁ、その通りだ。それにあなた方はもうご存じかもしれないが、我々の資金源はこの烏田切に仕切らせている企業からであり、その扇崎という男が言ったことは根も葉もない噂に過ぎない。うちには全く関係のない話だ。」
< 42 / 146 >

この作品をシェア

pagetop