シルバーブレット
「見事に撒かれましたね。」



癒鼬組の屋敷から出た瀬羅は、落胆の色を見せる。



皆さんお忘れかもしれないが、癒鼬組には張り込みの捜査員が付いていた。


にも関わらず、隙を付かれた結果になってしまった。



蘇芽が行方不明になったことは、御方と烏田切に会う前に捜査員から報告があった。

驚いてみせたのは、もちろん張り込みのことを気付かれない為だ。



「人間のやるこったぁ間違いがあるもんだ。気にするな、とにかく探すぞ!」


「そう…ですね。」



気にするな、という志麻の顔は怒りに満ち、今にも殴りかかりそうな勢いだ。


張り込んでいた捜査員が、電柱の陰で怯えた表情でこちらを窺っている。



「(御愁傷様です……)」



殴られないにしても、本部に戻れば大目玉だ。


後のことを想像した瀬羅は、心の中で捜査員を気の毒に思うのだった。
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